新釈:カタカナ語辞典    サ行 最新:2003.2.24


ソープランド
〔{和}soap+land〕個室式の特殊浴場。女性によるマッサージなどの入浴サービスを伴う。〔第二次大戦後、風俗営業として始まり、一時期「トルコ風呂」と称された〕 (「大辞林」より)

もちろんソープランドは英語ではないし,外来語ですらない,いわゆる和製英語である。
すでにその「事件」を知らない世代も増えてきているかもしれないが,かつて「トルコ(風呂)」と称されていた。親日家のトルコ人留学生がその正体を知ったとき痛く傷つき,時の厚生大臣に直訴したのである。オカミにしては珍しく(というか,すわ「国際問題」だとあせったのだろう)迅速に処置がなされ,その業界ではトルコに変わる名称を公募し,ソープランドになったらしい。トルコ風呂という名称自体は,本家のトルコでは別段いかがわしいものではもちろんなく,健全な(今よく見かける「垢すり」のような)マッサージサービスのある蒸し風呂だという。そのマッサージサービスが「拡大解釈」されたということであろう。

一時期,わが職場である英会話学校でやたらと「〜ランド」という妙な言葉遣いが流行ったことがある。「どこいくの?」「ランチランド」 「なにしてるの?」「スモーキングランド」 ネイティブの教師たちが面白がって使っていたのだが,発音もlandではなく,日本人ぽく「rando」という感じであった。 なにそれ?どっからそんなのが流行りだしたの,と聞いたら,いきさつはこうだった。日本に来て日が浅い外人講師が,同僚に,洗濯石鹸はどこで買えるのかと質問したところ,聞かれた側がふざけて,「ソープランドだよ」と答えた。新米教師はそれを真に受けたのである。あろうことか授業中に生徒に向かって「石鹸買うからソープランドにいかなきゃ」と発言してしまった。そんな「事件」があって,すっかり「〜ランド」はウケてしまったのである。

余談だが,ポルトガル語では進行形,つまり英語の-ingにあたるものが-andoとなる(ことがある)。だから,動詞の綴りによっては「〜ランド」が進行形である場合がある。「泣く」chorarの進行形はchorando「ショランド」となるのだ。同僚たちのふざけた言葉使いを聞いてつい思い出してしまった。

本来の意味でも(というのも変であるが)「〜ランド」というのは巷に溢れかえっている。最近我が家の近所にできたスーパーマーケットが「つるかめランド」という名前で,あまりの田舎臭さにめまいがしている。遊園地の名前に〜ランドというのはまあよくあるが,しかしよく考えてみると富士山の近くにある「日本ランド」ってのもすごい名前だなあ。ホームページを見てみたら「WELCOME TO NIPPON LAND」と書いてあってこれまたちょっと目眩がした。私たちが住んでいるところはいったいドコなんだ…。